長引く胃腸不調の原因と漢方薬のご紹介

長引く胃腸不調の原因と漢方薬のご紹介

「胃が痛い」「胸やけがする」「胃がもたれる」など…長引く胃腸の不調に悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

病院へ受診し処方薬を服用している方や、自分に合った市販薬を服用している方も多いかと思います。しかし、“症状が改善しない”“服用をやめるとまた辛い症状が現れる”など、よくご相談を受けます。

一時的な胃腸の不調は、風邪や感染症などによって引き起こされる事もありますが、ほとんどの場合は一時的で症状が改善し長引くことはほとんどありません。

しかし、長引く胃腸の不調を訴える方は多く原因不明とされています。昔は、神経性胃炎や慢性胃炎と呼ばれていた長引く胃腸の不調は、近年“機能性ディスペプシア”と呼ばれています。

<機能性ディスペプシアとは>

“症状の原因となる器質的、全身性、代謝疾患がないのにもかかわらず、慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれなどを中心とする腹部症状が続く病気”と一定の定義があります。

長引く胃腸の不調がある場合、医療機関を受診し、胃カメラなどの検査を受けている方が多いですが、はっきりとした疾患が見つからない場合も多く、このような方は胃腸の機能が悪くなったことで症状が引き起こされていると考えられています。

<機能性ディスペプシアになる原因とは>

機能性ディスペプシアが起こる原因は多々あり、1つに絞ることはとても難しいとされています。しかし、その原因を取り除くことによって症状が改善する場合もあります。

その1つにピロリ菌への感染があります。ピロリ菌に関しては、きちんとした治療を受け、ピロリ菌の除去を行うことで症状が軽快することがあります。長引く胃腸の不調に悩んでいる方は1度検査を受けてみてはいかがでしょうか?

その他の原因として考えられるものは、普段の生活の中で起こることが大部分を占めています。

「心理的要因」:ストレスですね。脳と腸は密接な関係にあり、不安や緊張が胃や腸の運動や感覚に影響を与えることがわかっています。また、機能性ディスペプシアの方にお話を聞くと、「毎日辛い症状に悩んでおり、そのことがストレスです」という方がとても多いです。ストレスが機能性ディスペプシアの原因の1つでありますが、機能性ディスペプシアとなってしまったために、さらにストレスを与えてしまう悪循環になってしまうのです。

「生活習慣」:こちらに関しては、皆さんがすでに気を付けている事と思います。偏った食事や、喫煙・飲酒など胃腸の負担となる生活習慣は機能性ディスペプシアの原因となります。その他、不眠も原因と考えられています。

<機能性ディスペプシアの治療とは>

機能性ディスペプシアと診断された場合、どのような治療方法があるのでしょうか?

主に2つの方法によって、治療していくと考えられます。

(1)消化管運動機能の改善

食事をすると、胃や腸は一連の動きをするようになっていますが、この動き(運動機能)が正常でない場合には胃腸の不調が起こってしまいます。それら、運動機能を改善するために消化管運動機能改善薬が処方されます。

(2)胃酸分泌の抑制

胃酸やその他の消化液は、食べ物の消化など重要な役割がありますが、過剰な分泌は粘膜を傷つけたり、逆流してしまったり…と胃腸の不調へと繋がっていきます。

過剰な分泌を抑える為に、胃酸分泌抑制薬が処方されます。

これらの薬は、機能性ディスペプシアに対しての改善効果が世界中で多く報告されています。

医師の判断や、検査の結果にもよりますが、ほとんどの場合は以下のような方法で治療を行っていきます。

主な治療の流れ

内視鏡検査…異常がある場合には、それに対しての治療

↓(異常なし)

ピロリ菌の検査…感染が確認された場合には除去の治療

↓(異常なし)

(1)消化管運動機能改善薬・(2)胃酸分泌抑制薬

抗不安薬・抗うつ薬・漢方薬

実は、残念なことに(1)と(2)の第一選択として処方される薬を服用しても、症状の改善や軽快が見られない方はいらっしゃいます。

その場合、第二選択として抗不安薬や抗うつ薬・漢方薬が処方されることがあります。

抗不安薬・抗うつ薬?と思われる方も多いかと思いますが、機能性ディスペプシアの原因の1つと考えられているストレスからくる症状に対して効果を期待され、処方されるのではないかと思います。医師の指示に従って服用する分には、心配することありません。

そして、最後の砦?となっているのが漢方薬です。

<機能性ディスペプシアに対しての漢方薬の選択>

今までにご紹介した機能性ディスペプシアに対しての薬と漢方薬は何が違うのでしょうか。第一選択として処方される薬は西洋薬といって、“症状の原因となっている元を改善する”ことが目的とされています。しかし、機能性ディスペプシアでは、原因がわからないのです。その為、処方された薬を飲んでも改善されないと訴える方が多いのは仕方ないことであると思われます。しかし、漢方薬は東洋医学的な考え方によって、症状の改善を図ることを目的としています。

●東洋医学の考え方

東洋医学では、体と心をひとつのものとして捉え、その人の体質や生活習慣、体内のバランスの乱れが病気の原因であると考えます。

人が本来持っている力を引き出し・高めながら心身のバランスを整える治療を行うのです。

機能性ディスペプシアの原因は様々な要因が重なり合うことで起こっている場合が多く、東洋医学が得意としている分野であると言えます。

主に使用される漢方薬は下記のようなものが一般的です。

「六君子湯(りっくんしとう)」

体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:

胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

※六君子湯は機能性ディスペプシアの方(長引く胃腸の不調の方)には、よく処方される漢方薬です。胃の緊張・水を排泄させる働きがあると言われており、胃もたれや吐き気の症状がある方に向いているとされており、「気」と「水」のバランスを整えてくれます。

「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」

体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:

不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感

「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」

体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:

急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔い、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

※漢方では、体を動かす(運動機能)の役割を行っているのは「気」であると考えます。「気」はストレスを受けたりすることで、その場で停滞することがあり、それによって不調が起こっていると考えます。その「気」の流れを助けるのが半夏厚朴湯と半夏瀉心湯です。

漢方薬の利点として、症状や体質に合わせて選択できるという点があります。例えば、数年間服用していた漢方薬があったとします。しかし、年齢を重ねてくれば体質や生活習慣は変化してきますよね。その時々の証(体質)に合わせた選択が出来るのです。また、体と心をひとつとして捉えて考えるため、いくつかの症状に対して効果が期待されます。

漢方薬は、丁寧にゆっくりと優しい働き方をするお薬です。「あれ?そういえば、胃腸の不調を感じなくなったかも!」と、半分忘れていたような感覚で症状の改善・軽快が出来るものと考えています。体と心の不調は、その原因が少しずつ蓄積されて症状が現れるのではないでしょうか?その症状を1度きりの服用や数日の服用で治すことは、その時だけの改善であると考えます。少しずつ蓄積されてきた辛い症状は、ゆっくり・じっくりと改善していく方が良いのではないか?と考えます。

最後の砦?として、1番最後に処方されることの多い漢方薬ですが、それだけに大切なお薬であると思います。

●和漢胃腸薬の膽肚羅丸(たんとらがん)のご紹介

7つの生薬のみでつくられた膽肚羅丸(たんとらがん)は、和漢胃腸薬として皆様に長年愛されてきました。店舗販売や訪問時には「これが無いと安心できないのよ!」と、お言葉をいただいております。

“持っていることで安心できる”“安心して服用できる”そんな胃腸薬があれば、長引いている胃腸の不調がある方にとって、救いとなるのではないかと思います。

生薬はその働きや性質によって、3つに分けられます。

上品…作用が穏やかで長期服用しても副作用の心配がなく体質を強くする。他の薬の副作用を軽減する。

中品…少量で短期間であれば副作用の心配なく新陳代謝を高め水際で病気をせき止める。

下品…治す作用は強いが副作用を伴うこともあり服用する量や期間に注意する。

和漢胃腸薬の膽肚羅丸(たんとらがん)は、上品と中品の生薬を絶妙なバランスで配合しております。その為、長期服用に適した胃腸薬であると考え、皆様にご紹介をさせていただいております。

また、膽肚羅丸(たんとらがん)は、希少生薬であるものを数種類、配合しております。

高麗人参というとご存じの方も多いかと思いますが、その有名な理由として効能だけでなく、“高級品”であることも理由の1つと考えられます。

古来より貴族や皇族など、身分の高い方への贈答品として贈られていたとか…

現在でも1本数十万円など、とても高価な品であることは間違いありません。

胃腸は私達が生きていく上で重要な役割をしてくれています。胃腸に優しく、自分の体と心に優しいお薬で元気な毎日を送っていただければと思います。

長引く胃腸の不調に悩んでいる方に、少しでもお役に立てればと考えておりますので、いつでもご相談など受け付けております。

ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。


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